子供の頃育ってきた環境というものは、人の思考回路や人格形成に大きな影響を及ぼします。そして大人になってからは、働く環境や仕事によっても、多かれ少なかれ影響を受けてしまうのは免れないような気がします。
私は子供の頃から二十歳位までは、内気で自分の考えを口に出して言ったり、自己主張が出来ませんでした。というか、親や先生の言うことを疑うことなく素直に聞いていた為、自分の考えというものがなかったかも知れません。小学校の通知表には、「おとなしい」とか「すなお」とか書かれていました。
塾講師を経て、最初の会社の面接で、内向的で自己アピールも出来なかった筈の私が、何故か「英文タイプも打てます。」と言ったのが貿易畑に入るきっかけとなりました。今思っても不思議で、神様のお導きとしか言いようがありません。
二社目の時は、私が希望していた仕事は別の職種でしたが、筆記試験がダメだった筈なのに二次面接に呼ばれ、トップの人から直々に輸出の仕事を教えますからうちに来ませんかと誘われ、とても良い条件で採用されました。外資系は即戦力が基本なので、これも神様のお導きでした。
三社目では、輸出の船積みの他に、翻訳やコレポンなど英語を書く仕事も加わりました。海外営業(米・欧)担当のアシスタントだったのですが、海外営業の仕事は大変そうでも貿易事務より魅力的に見えました。でも、当時の私では性格的に無理だとわかっていました。
同時に、人をサポートする仕事が向いていることを発見し、かつより英語を使えると言うことで、後の外資系の会社数社では外人社長付秘書になりました。スピーディーかつ正確な事務処理能力が要求されるのは、貿易事務も秘書も同じです。英語好きの女性が憧れがちの外人付秘書は、見た目ほど華やかではなくあくまで黒子の役割でした。
(続く・・)